doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

越後信州駆巡ー帰るー

 

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 12時ころ、糸魚川市役所をゆるりと出発、これより千国街道(R148)を南下する。

 R148に入るとまず最初は姫川を中にして左右遠く青葉若葉の山並みが続き、とても開放的な気分になる。が、やがて少しづつ左右の山並みが近づいてきてぴたりと挟まれ、姫川が渓谷をなし 、国道R148は川に寄り添って曲がりくねる。

そして曲がりくねったままスノーシェッドに突入、出たなと思ったら今度は長い長いスノーシェッド、引き続きトンネル、またたく間にまた スノーシェッド、トンネル、トンネル、スノーシェッド・・・延々、延々と続く。

 

 

これじゃあ千国街道を眺めてみたいどころの騒ぎじゃない。 スノーシェッドとトンネルの壁に激突しないようハンドルを切り続るのがやっとのこと。どこまでもそれが続いた。たまにそれが途切れた場所に「フォッサマグナ・パーク⇒」の看板を見かけたものの立ち寄るこころの余裕はなかった。

帰宅後のことだが、これは由々しきものを見損なったと思った。こんなものが見られる場所はそんじょそこらに転がっているものではない。何故そんなに先ばかり急ぐのか! もちっとゆるゆるとした心がなぜ持てんのか! バカ者メ。

 

 

これも帰宅して調べてみたのだが、古の千国街道(塩街道)がよく保存され残っているらしい。ネット検索ではこの R148よりもだいぶ山側に、延々として糸魚川から松本まで続いているという。画像を見ればぜひとも歩いてみたくなる古街道だった。

こういうことも調べずに、ただただすっ飛んで走ることに何の意味があろう。どうせ何もしない暇人なんだから、先を急ぐ必要は何もない。それなのに、ただわあわあ言って飛び歩く自分は本当のバカだと思うが、そのときはそうは考えなかったのだ。

 

 

スノーシェッドとトンネルが切れた場所の向こうに、山肌が無残に崩れた大きな山を見た。樹木の生えた地面が、皮膚が剥がれたように何か所もずり落ちていて、茶褐色の地肌がむき出しになっている。スノーシェッドとトンネルばかり潜ってにいるから見えないが、このほかにもいくつもあるのだろうな、と思う。

崩れた土砂が姫川の流れを遮って大洪水を起こした個所もあるらしい。そういう荒々しい千国街道の深い谷を目にするには、車ではなく大糸線に乗るのがいいのかもしれない。宮脇俊三さんの本にそれが触れられている。

 

 

少し開けた場所に、道の駅「小谷」があり、嬉しいことに温泉が付属している。これはありがたやと温泉に入る。「源泉かけ流し」と表示されているがかけ流しはともあれ、湯は薄い茶色を帯びて本物の温泉であるようだった。

しかし旅にしあれば草枕、のんびりと湯の中でうたた寝をする余裕はない。そそくさと汗を流し、せかせかと内湯につかり、そわそわと露天風呂入り、せわしなくあがってさっぱりとした。 

 

 

        (画像は道の駅hpから。何しろ走ってばかりで写真がない)

 

 

ここはまだ新潟県だとばかり思っていたが、あとで、長野県であることを知った。千国街道のうち新潟県はほんの少しなんだと改めて思わされた。ついでながら、ここの「小谷」が信長に滅ぼされた浅井長政小谷城の地だとばかり思っていた。それを言うとある人の言うじょう、「年寄りの思い込みってホントに怖いわねえ! 」

 

 

湯に入ってさっぱりして少しばかり落ち着いて、走り始めると長い長いトンネルに入った。ようやく抜け出て小さな集落が現れては後方に飛び去って行くのを眺め、そうして目の前がパ~~っと開けてきた。

正面に残雪が輝く高い山が屏風のように立ちはだかり、手前の低い山々には新緑が初々しく萌えたち、その美しさに思わず声を上げ目を見張った。白馬に出たらしいと分かった。あまりの美しさに路肩に車を止め、一枚だけ写真を撮った。

 

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出来ればこの素晴らしい光景をパノラマで写しておきたいと思ったが、先へ進んでもちょうどよいアングルが見当たらない。ろくに生えていない後ろ髪を引っ張られる気持ちで、振返りふりかえりしつつ通過してしまった。

帰宅して酒を飲んでいた時、なぜこの時ここにとどまって白馬の村中を歩かなかったのか! と非常に悔しい思いが湧いてきた。理由もなく急いだばかりに「フォッサマグナ・パーク」と同じように過ぎて帰らぬ光景を見落としてしまった。ナミダがポロリ。

 

 

さて、それはともかく、これから松本⇒甲州街道⇒自宅では、陽が暮れるどころではない、へたすると朝になるかもしれない。そこで白馬⇒信州新町⇒上田⇒佐久⇒野辺山⇒韮崎⇒甲州街道と、ひたすら山越え山越えのルートをとることとし、そのルート上の道の駅を伝い走るべく機械に命じしめる。

白馬から東に連なる緑の山に入り、途中からやおら脇の細道をぐんぐん登って川沿迄下って「道の駅、信州新町」、「挽きたて打ちたて茹でたて」と看板が出ている。前途三千里の思い胸にふさがりて、ここで腹ごしらえをしようと思う。 

 

 

               (画像は同所hpより。食ったのもこれと同じ)

 土産物販売所の脇に「そば信」という店があり、看板通り蕎麦を切っている人があり茹でている人があり、何よりざる蕎麦500円、天ぷらがついても850円と安い。ざる蕎麦来る。山もり。少しぽきぽきする感触だが結構旨い。越後はつるつる喉越し、信州はぽきぽき噛応え、と見つけたり。

 

 

国道19号を善光寺平へと下るが、なるべく善行寺方面に背を向け狭い回廊を上田方面に進路をとる。ああ、右肩の先あたりに姥捨ての景観があるのだなあ、と感じる。再び見て見たい気もするが、まあ、止めておこう。

バイパスで上田市街地を回避し、「北国街道海野宿」を再訪しようとしたがこれも止した。何しろばかナビは自宅帰着が10時ころになると嘘ぶいている。こうなれば一度見たところは立ち寄らないことにしよう。

 

 

そして小諸市に入り、右へ折れて一気に佐久平に駆け下り勢い余ってたちまち野辺山まで駆け上り、一憩してから清里を通過して韮崎へと転げ落ち、20号線に入って甲府バイパスの渋滞でまたかと思い(このバイパスはいつでも渋滞する欠陥道路)、それでも抜け出て大月相模湖無事通過、8時半ごろ帰着した。

 

 

越後信州駆け巡り、一泊二日の距離数約730㎞。

酒を飲みつつ思い起こして大反省。

先へ先へとやたら急ぐべからず、気を落ち着けるべし。

そわそわせかせかの性格治すべし。

次回は、ゆったり走ってどこでも止まってゆるゆる歩くべし。

 

さて、次どこへ行こう。