お正月は瞬く間にどこかへ消えていった。
小正月と言われていたものも、なにやらもそもそ姿も見せずどこかへいった。
子供のころ、これから寒くなる一方だし雪も降るというのに、
「新春」だとか言って、梅の花など書いてあるのにイタク違和感をもった。
梅なんか何処にも咲いちゃあいねえ、春なんか何処にもその兆しさえねえ。
なに、桃の節句だあ! 桃の花なんか咲いちゃあいねえぞ。
てなわけで、「年中行事は旧暦でいこう」に全面的に賛成するものであります。
これも子供のころ、両親は年中行事を精いっぱいやってくれた。
お祝いの餅を搗き、笹粽を作り、団子を練りして、暇だったせいでもあろうけれど、
その季節季節のお祝い事(年中行事)をしてくれた。
だから、その年中行事とその季節感とが一体となって、
脳みその奥深い暗がりにそっと仕舞い込まれてしまったらしい。
てなわけで、季節を外れた新暦での年中行事は、大いなる違和感アリ。
・・・違和感アリ、と言えども、世の流れは怒涛の如く、
うだうだ言っている間に、年中行事など吹き飛ばされ、
バレンタインを輸入する、ハロウィンを持ってくる、という勢い。
というようなわけで、声高に言うのは止めにして、
ひたすら追憶の陰に浸って、遠い昔を懐かしみ 、でもって余生いくばく。
しかしながら、さりながら、国民全部がことほぐ正月を
独り旧暦でやったなら、これまた侘し、淋しくて
黙ってしまうほかはなく、エライ難しいこってござんす。