doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

保全里山と道っ端の花

 

 水道管が埋設されてる導水管みちを、ひとまず歩き終わって、

 さてまだ時間たっぷし、どこへ行こうか?  里山保全地区は如何? 

 ほらええなあ! ほなら行こか!

 

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 てなわけで、村山貯水池から西へ約3㎞、瑞穂町の近くの、里山保全されている地域に向かおうと思う。その場所で、道っぱたの花を探しながら、日が西に傾いて涼しい風が吹くまで、ゆるゆるのんびり過ごそうか。

 

 それはいいが、この日盛りに頭の天辺から”ぐわしゃ”と攻めてくる、容赦ない熱射を受けながら武蔵村山を縦断しなければならない。青梅街道を避けて狭山丘陵の麓を選ぶとしても、木陰があるわけじゃなし、南無さん! 熱中症だけは勘弁だ!!

 

 止むを得なければ即ち、仕方がない。家々の前を、のろのろよたよた歩く。花壇や鉢には、園芸種の、これでどうだあ! 的な花が華々しく咲いている。いいんだ! 地味で目立たない道っ端の花がいいんだよ! みすぼらしい老いの身にふさわしい。

  

 

 禅昌寺に立ち寄って休憩。「少飛の塔」という形のいい慰霊碑がある。終戦時、玉川上水駅近くに陸軍少年飛行学校があり、一四,五歳の生徒たちは祖国防衛のため4500人も虚しく大空に散華していったという。

 

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 その関係者が、ここ禅昌寺に慰霊のため碑を設置した。御影石の凛とした白い五輪の塔が初夏の日差しを浴びている。ふと見ると、その脇の観音堂のひさしの陰でどうやら”仲間?”かと思われる初老の男が休んでいる。90°曲がった陰でこちらも休憩。

 靴を脱ぎ、靴下も剥ぎ取って、黒い玉砂利のヒヤリとした感触が裸の足に心地よい。出来の良くない足を揉みほぐして、まだ先は長いぞ、と言い聞かせた。微塵も動かないかとみえる日差しの向こうから、忘れていたように、そよらと風が吹き抜けた。

 

 

 

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 狭山丘陵の奥へ続く細道へ入る。開けた谷間の一番手前に移築された古民家。両脇を低い丘陵が挟み、谷は奥へ行くほど狭くなり、そして緩やかに登り、丘陵の尾根につながる。細長い二等辺三角形のような、谷地地形。

 田んぼの脇の細道を奥に進む。脇に小さなせせらぎ、丘陵の稜線の下あたりから湧き出す清水。田んぼ、湿地、草原などが続く。かってはすべて田んぼだったが、高度成長期にゴミ捨て場となり、ある日ふと気づいてゴミを片付け、田んぼを作り、里山に手を入れて、今はすべてボランティアが管理している。

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 道っ端の草は、選り取り見取り、いやになるほど生えている。草だらけといってもいい。 これを道っ端の草花といっていいのかどうか分らないが、学者じゃないんだから、そんなこたあ、どうだっていい。

 

 

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①まずはこれ。ムラサキサギゴケなのか、カキドウシなのか? いつも迷って決着つかず。実物はもう少し赤っぽい。地べたを這って群生している。 この方はいつも見かけるがもう一方はもしかしたら目にしてないかもしれない。花の径は1cmぐらい。

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②これも上の写真と同じ草原に多かった。花の径は1.5cmぐらい。図鑑では「オヘビイチゴ」らしいが、普通のヘビイチゴと見分けがつかない。試みに引き抜いてみたところは下の通り(ピンボケだが)。

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③もう一つ、これはもうなんだかさっぱり。20cm位の茎の頭あたりに径5mmほどの固まった花。花は紫色を帯びていて地味な形。図鑑でも探せなかった。なんだろう? 

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④これは「コナスビ」だろうか。葉っぱがそれらしく思える。花の径はやはり1cmぐらい。葉っぱの脇に花がついている。

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⑤これがまた、小さくて目がちかちかするようなもの。白いのが花らしいが、粒々は蕾なのか実なのかわからない。どちらも5mmほどであり、特に花びららしきものは1㎜もないほど。「ヤブジラミ」だろうか? 図鑑に見当たらず。

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 ⑥小っけえ花ばかりでは目にいくない、少し大きな花を。花の径は1cmぐらいでとげとげの実らしきものがついている。「キツネノボタン」だろうか。似た花で、「ケキツネノボタン」という訳の分からない名のものがあるらしいが、無論のこと区別は無理。

 

 

 

  丘陵の下の道をたどっていくと、だんだん両側から藪が迫ってきて山道のようになった。このままいけば丘陵の尾根に出るのだろう。脇を流れている水の湧き出しを確かめてみたい気もするが、どこまで続くのかわからないので、引き返すことにした。道端の草地にも変てこりんな花が現れる。

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 ⑦これは「ニガナ」だろうか? 似たような花がわんさかあって区別がつかない。花びら(?)が5枚のもあるし、6枚のも見えている。こういうのは素人泣かせだ。ほんとにもうどっちかにしてもらいたい。

 

 

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⑧これが曲者だった。今までに見たことも聞いたこともない。花色はもう少し赤っぽい。オドリコソウが立ち上がったような形をしていて、茎のてっぺんを取り巻くように咲いていた。図鑑を探しまくったら「タツナミソウ」というのが見つかったが、同定はできない。なんだろうな?

 

 

 

 さすがの日永でも大きく傾いてきた。反対側の丘陵の下の小道をとことこ下っていく。どこやらで蛙がコロコロと鳴いている。懐かしい声。田んぼ里山はいいなあ。目にも脳みそにも優しい。

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 古民家が見える場所まで来た。目の前に田んぼが広がっているが、田植えをする様子はうかがえない。今年は中止せざるを得ないのだろう。なんたって、ボランティアで子供たちが植えるのだから。いろんなところに影響がある。

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 ベンチに座っていると、一組の母子がやってきた。手に網を持ってザリガニを捕まえるのだろう。ちっちゃな女の子が可愛らしい。「ザリガニはおうちに持って帰ってもいいけれど、ほかの生き物はに逃してね」と看板が出ていた。

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 夕方の風は涼しい。いつまでもここに居たかったが、そうもいかない。

 今日は14㎞ほどしか歩かなかった。でもそろそろ帰らなくては。

 また来ようと思う。子供たちの元気な姿が溢れているといいのだが。