村山貯水池の南側、自転車歩行者道路を歩いて「カタクリの湯」まで来た。
この先は狭山丘陵の中へと入っていく。
で、急ぐ理由はあんめえし、ほれ、じわじわ行けてば。
「カタクリの湯」から丘陵への道を進む。ジャングルジムや冒険の森などの施設があるが、全部閉鎖中。広い草原で唯一ひとくみの家族、幼児がここを先途とあたりを跳ね回る。嬉しさが体中から噴き出しているようだ。
森へ入るまでの道っ端にも珍しげな草花。両方とも、さらに自信はないけれど、たぶんこんな名だろうか? カラスビシャク、ウラシマソウ、マムシグサ、いずれも薄気味悪い姿をしている。華やかな花がないからなのだろう。
雑木林へ突入。暗い。地面が渇かないので、どろどろのお汁粉のようになっている場所もある。林下に緑はあれど、更に花は無し。これほど花がないとは思わなかった。山中を歩くことがほとんどないので、こういうことも知らなかった。
おっと、いきなし階段道だ。わが脚はわれを上空へ持ち上がるようにはできておらぬ。ただ単に平坦地を前方へ平行移動せしむるためにのみ存在するのだが、止むを得なければ即ち仕方がない。登る。
登ったら少し下る。ひとたび登ったからにはその高度を維持せよ、もったいないではないか。しかし道は上ったり下ったりしながら続く。そして却下の草には特段変わった姿のものはない。
と、まあ、こんな調子で30分も歩いたら尾根道へ出た。窪地に案内所(インフォメーションセンターと書いてあった)が設けられていたが、閉所中のようなので立ち寄らなかったが、六地蔵の案内板が出ていた。
六地蔵は、明治三十年ごろ、この地に流行した赤痢の犠牲者を慰霊するため、念仏講の人々によって建立された、と書いてある。散歩している人もちょっと立ち寄って手を合わせている。手を合わせる代わりに写真を撮った。
そこからから幅2mぐらいの尾根道が続く。森の中と違って陽ざしが明るく、風が通り大変心地よい。そして森の中には誰もいなかったが、この道は恰好の散歩コースらしく、ちらほらと歩いている人がいた。
林縁の草むらにフタリシズカ。花は小さくてとても手に負えないからボケボケ。葉っぱは立派過ぎ、花は卑小過ぎる、変てこりんな植物だなあ! と思っていたら、なんとまあ! すぐ近くに「おおぜいしづか」みたいなものが。。。
尾根道をとことこ歩いていったら、だんだん下り始めて民家が見えてきた。これはおかしいぞ、道を間違えたらしい。何の疑問もなくこっちだと思って歩いてきたが、はて? 。とそこへ、右の藪の中から熊のようにのっそりとおじさんが現れた。
おじさんも思案気に民家を眺めている。ご同輩の道迷い? ま、とにかく訊いてみる「瑞穂町はいずこ?」。この道の反対側だと言う。六地蔵まで戻るべし、そしてナンじゃらしろ、と言う。あへ~~、戻るのかあ! 同じ道を引き返すのは死ぬほど嫌いだ。
われに方向感覚、極めてなし、目標見えずんば東西南北どちらへ行くかしれたもんじゃない。更にその自覚なきためトント疑いもせず、平気の平左でずんずん進んで、道を失いしこと、数を知らざりき。チ~~~ン!
六地蔵に戻って前方から歩いてきた中年ご夫婦にまた道を聞く。が、要領を得ず。そこへ婆さんが来て「あら、わたしも瑞穂町の方へ行くの、ご一緒しましょうか?」ときた。むむむ、しばし黙考、そして悪魔が囁いた。一緒に歩けばいいじゃねえか。
瑞穂町へ続く道は、やはり幅2mぐらいの尾根の道、右側は所沢、左が東京、とお婆さんがガイドしてくれる。お婆さんはよくしゃべる。武蔵村山市で整体師をしていること、暇さえあればこの道を歩いていること、歩くのが好きであること、その他その他。
おかげさまを以て、道っ端の花はろくに目に入らず、困ったことになったが、後の祭りというもの。仕方がないのでこのまま連れ合って行こうと覚悟を決めた。整体師だから、お客の気をそらさないよう、おしゃべりするのだろうと思った。
瑞穂町の「六道山公園」まで来た。丘陵の上に煉瓦の広場があり、草原があり、展望台がある。ここでお婆さんと別れ、町への道を下っていく。お婆さん、ありがとやんした。道端にまた花を見る余裕ができたかな? 。
万年草は、川の土手に咲いているのを、ふ~~んと言って素通りしてきたが、いろいろ種類があるらしい。前に「メキシコマンネングサ」というのを見たような気がする。それとこれと、どう違うか? ・・・わからんですたい(同定がいいかげん)。
これも、おそらく「ヒナキキョウソウ」らしいと言うしかない。初めて見る花だし、花の部分が小さいし、写真はボケボケだし、それよりなにより、こっちにその知識皆無だから、すべてに「おそらく」「らしい」「かもしれない」がついて回る。
今回もまた反省した。”ピンボケは止めろ! ” 望遠もない安物のポケットカメラであはあるが、深呼吸ののち、落ち着いて工夫をして、ピントをきちんと合わせて、こころ静かにシャッターを押すべきである。
もしピントがうまく合わなければ、合うまで待とうホトトギス、ああでもない、こうであろうか、と試行を錯誤すべきだ。心急くままに、ふわふわと、いそいそとシャッターを押すのは厳に禁止する。
歩行距離19㎞(歩数換算)・・・爺いにしてはあるき過ぎ。
湯上りにサンデッキでビールをゴキュゴキュッと。
旨きこと言わんかたなし。