doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

八高線・再び(生越~小川町)

八高線のみぎひだり

    足のむくまま気の向くままに

            烏が鳴いたら帰ろうかな

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  生越の駅に着いたのは、9時半ごろにだった。だんだんと乗車時間が長くなり、反比例して歩く時間が少なくなるが、これはやむを得ない。ブルンブルンと高崎に向けて、健気に出発する電車を見送ってから東口に降りた。

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 駅の西口は古くて燻ったような雰囲気はそのまま。東口は整備され、ロータリーという洒落たものができていた。しかし周りにお店があるわけでもないし、エキナカなどありようもないし、階段と改札、、、む、改札なかったぞ。表に出ちまったい!

 

 北に向かい、半住宅地地みたいなところを歩いていったら、越辺川に突き当たった。が、橋がない。仕方がないから岸辺をぐるっと回る。広い河川敷みたいなところでゲートボールをしていた。まだ廃れていなかったんだなあ! ゲートボール。

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 なんのことはない。ぐるっと回って、前回痛い足を引きずって登った、山吹の郷のところの橋を渡る羽目になってしまった。これはしたり! どえらい損をこいたじゃないか! 2㎞ぐらい無駄に歩いちまった。 しかし川風が涼しかったので、許す!

 

 

 川向こうはもう全くの農村地域だ。これがエラクよろしオマ、皐月晴れデンナ。田んぼの緑、山も緑、空が青い、目も青い風を感じている。吹いてくる風も、なにがなし涼しいような気がしてくる。じじつ田んぼで気温も違うとちがいまっか?

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  ここで恒例、道っ端の花。時期的に端境期なのだろうか? 道っ端に余り花を見かけなくなった。春先の、わあわあに比べるとだいぶ寂しい。植物の基本は、春に花、梅雨に実、そして夏、秋は死んだふり、冬は花の準備、というサイクルなのかな?

 

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 ヨウシュヤマゴボウ? 花は先っぽの方にあり、青い実が茎の方。花はよく見ると薄桃色できれいなんだけれど、何しろ小さい。デジタルズームで引っ張るとボケボケに。しかしこれ、ヤマゴボウに似てるのかなあ、ヤマゴボウを知らんからなあ。

 

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 ヤブカンゾウ。春先にいち早く芽を吹いた葉っぱが、こんな派手な花を。ノカンゾウは一重ですっきりしているというが、今回は見かけなかった。夏らしい花。

 

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 いろんな葉っぱが写り混じゃって分かりにくい。この花の葉っぱは長楕円形の縁に波が打つ緑の濃いやつ。ハクチョウソウだと思うが自信はない。花の径3センチメートルぐらい。花びら4枚は上の方、長い蕊が下の方に着いている。

 

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 てっきりガマの穂だと思っていたが、図鑑を見たらヒメガマと。穂先の方が雄花序、茎元の方が雌花序の由。へえ~、ガマにもいろいろあって、その上、変わった花の付け方をするなんぞ、思いもよらなかった。

 

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 これが分らんですバイ。木の枝のような茎の、先っぽに青い蕾、中ほど薄桃色の小さな花、茎元が黄色い咲き終わり。花がきれいだと思って何気なく写したものの、後始末がつかぬ。是非教えてくだされ~。

 

 

 少しづつ丘陵の端っこの方へ向かって歩いている。一つの集落を過ぎてまた別の集落に入っていく。道端の、かっては畑だったらしい空き地に花畑が造られている。よく手入れされているらしく、様々な花が咲き誇っていた。

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 八高線の線路を越えたところに、樹木と草に埋もれたような小さな公園があった。よく見ると、琵琶の実とヤマモモらしい実が地面を埋めるように落ちている。琵琶の木陰に一人の老人が、ぼんやり座って景色を見るともなく眺めていた。

 しばらく休んでから老人に、これは琵琶ですか、食べられますか、と当たり前のことを聞いてみる。「ふんにゃ、旨くはあんめえに。よく実ったのをな」。道っ端の木の実は食え! 買ってくる琵琶よりも少し酸っぱい。なるほど旨くはない。

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 隣のヤマモモのような実は、これは何? と聞くと「オラ知らね!」ということだったが、実に旨そうに見えたのでこれもパクリ。酸っぱいような、ほのかに甘いような、なんだかとりとめのない味。見栄えは旨そうなんだけどなあ!

 

 

 山に囲れた小さな集落に入る。休耕田が目立つが、耕作する代わりだろうか、やはり道端や庭先には見事な花が育てられている。休耕田の草ぼうぼうは寂しい眺めだけれど、せめて荒れ地に花を! という心情が垣間見えたような気がした。

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 この集落を抜けるべく、畑に続く細道に入ったら途中で舗装が切れ、なんだか知らぬ間に、藪の中に突っ込んでいた。戻るのは癪だから何とか突破しようと思ったら、なんとなんと! 狸公らしき親子が出てきた。

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 「あらッ! あんた誰よ!」「お母ちゃん、変な爺さんだから早く逃げようよ」などと言いながら、子供の方は草陰に隠れたが、母ちゃんの方は至ってのんびりしている。こいつと喧嘩したら、勝てるだろうか? ドキドキ胸が高鳴る。

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 母ちゃんはちょっとのあいだ道の真ん中に佇んでいたが、のそのそと子供と反対側の藪に入っていった。都会にもタヌ公がいっぱいいるらしいから、山里には当然のように住んでいて、人を怖がらないのかもしれない。猫よりもふてぶてしい。

 

 

 グーグルマップさんによくよく相談して、ようやくのこと道へ復帰した。次第に周りが低い丘陵に囲まれ、聞こえるのは、へたくそな鶯の鳴き声と、ときおりの風の葉擦れの音ばかり。静かだなあ、人がいないみたいだ。

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 そうして、明覚駅へと抜ける道路に合流。脇を八高線が走る。次の里へ行くのにここが一番低いから線路も道も一緒になる。緩やかな坂をだらだら上って、視界が開くと都幾川。明覚駅で昼飯にするべえと思う。

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 街道を外れ、線路を越えて田んぼ道に入る。若々しい薄緑の 稲苗が緩やかに弧を描いて丘陵の麓を巡り、八高線もそれに合わせてカーブする。山肌の濃い緑と田んぼの薄緑が呼応する。あぜ道はくねくね曲がる。

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 明覚駅到着。待合室で昼飯を食おうかと思ったが、表の木陰の方が断然気持ちがいい。そよ風が吹き抜ける。桜の葉がさらさらと鳴る。お婆さんがとことこ歩いてきて、こんにちわ、と挨拶して駅舎に消えた。若い女性もちらりとこちらを見て駅舎に消えた。

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 比企郡都幾川村が、東隣の玉川村と合併して「ときがわ町」。平地で人口も多い玉川村が、山間の寒村の都幾川に名を譲ったらしい。都幾川という名の川は、”清流”の面影が強い。(実際、清流ではあるらしいが)このイメージは強い。

 休んでいると駅前に、ゴルフ場のマイクロバスが止まって出ていった。生越タクシーの「乗合ワゴン車」が止まってまた出ていった。中年のおばさんが駅舎に消えてホームの向こうの階段をゆっくりと登っていった。

 

 

 さて、歩くとするべ。旧玉川村の路地道を抜けて「ときがわ花菖蒲園」へ行ってみる。ザンネーン! 遅かりし由良之助~! ハナショウブはすっかり葉っぱだけになって、おじさんたちがその手入れをしいている。マ、こんなもんさ。

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  村はずれに差し掛かって、慈眼寺というお寺がある、が、だよ。これがお寺かあ! 普通の住宅のように見えるけどなあ。次に春日大社がある。なんとまあ、こじんまりと遠慮がちに、奥ゆかしく。。。これからも頑張れよ。

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 お寺と神社の次は、何と言ったらいいのか、とても緩い郷に出た。丘陵の麓に家が散在し、田んぼの中に細い道が続く。この家々がもし茅葺だったら、一大観光地になりはしまいか? 惜しいことをしたなあ!

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  さらに山の中に入って低い丘陵を一つ越さねばならない。低いとは言い条、上り坂は急傾斜だ。初めて杖を使ってみる。一本だけだが、なるほど楽だ。ひーひーぜいぜい、のはずだが、ふう~~ぐらいで済む。距離が短いからすぐに下りになって、杖を格納。 

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  それにしても、このブログは長い! 読む人のことを一滴も考えない勝手ブログだ。誰も読まないブログなんて、闇夜の烏かもしれないが、そう思うのは重々なれど、面倒くさいからこのまま書いちゃう。

 

 

 さて、いよいよ嵐山渓谷へ入る。道は2車線の普通の道路しかない。ところどころで渓谷を覗き込んでみると、昨日の雨のせいか笹濁りの水が勢いよく流れている。嵐山渓谷は、地図にはあれどあまり人にも見られずに、ひっそり隠れている。

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 丘陵の麓には古い民家やお寺が森閑として佇んでいる。こういうのを見ながら、ぽくぽく歩くのも楽しい。山里の暮らしが時間の積層となって、歴史みたいなものも感じられるし、日々の生活の積み重ねが見えるようでもある。

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 渓谷沿いの遊歩道などあるべくもないから、また里山道を歩く。田んぼ、里山、麓に続く細道、ぽつんぽつんと民家の屋根。ここでは休耕田があまり見られない。これがよかです。なんだか ホッとするがです。

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 槻川の岸辺に「遠山甌穴」というのがあるので覗いてみた。むむ~~、これが? 多分あれだな、川が増水していて、本物のでかい穴は隠れてんだな、でなきゃあ、詐欺みたいなもんだよな。日ごろの行いにより肝心なものは見られず、それもまた良し。

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 陽が傾いてきた。小川町の市街地に向かうべく、山里をどんどん歩く。不思議なことに今日は足にこない。が、しかし少々疲れた。細道を歩いているときはいいのだけれど、車の道を歩くとてきめんに休憩の回数が増える。

 それでも里の細道を楽しまなくては、何のために歩いているのか分らない。疲れたは、歩けないのではない。たぶん根性が不足するのだ。と言っても、根性と辛抱は嫌いで、あまり仲良くしたくはない。

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 いよいよ小川町の市街地入る手前で、おばさん4名、なんと道路縁石にどっかりと腰を下ろして夕涼み中。交通量は多くないけれど、あの、え~と、巨大なおしりが車に轢かれないだろうかと、そこを心配するものであります。ハイ。

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  街の家並みに入って「埼玉伝統工芸館」に行ってみる。コロナで閉店なのか、それとも5時を過ぎているからなのか、ともかく何もかにも閉まったまま。ともあれベンチで休む。おじさんが連れている犬も、きっちりとお座りして休む。

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 小川町は和紙で名高い、とは聞いている。ここがオープンしていれば、そのなにがしかを見ることができたかもしれないが、まあ、いいや、という気もする。ひとまずは観光施設だろうという気がするのだ。

 

 ここから駅までが長かった。疲れた、は歩けないことではない! と威張ってみたけれど、下ばかり向いて歩いた。おおよそ4,50分も歩いてようやく辿り着いた。もう欲も得もないような気分で八高線に乗り込んだ。ありゃ~、駅舎を撮るのを忘れたゾ。

 

 

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 ここまで、歩数38,537(×0.6=23㎞)。

 6時18分、ぶるんぶるるん、八高線が走る。

 帰宅、7時半、遅くなっちまった。

 なぜ連絡せんのだ(怒!)・・・怒られた!