doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

まるで嘘のように

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 9月になったとたん、これまでのガンガン照りがまるで嘘だったように涼しい。

 朝の空気25℃はむしろ肌寒く感じられた。雲が空をびっしりと覆っているので、頭のてっぺんから強圧的な陽ざしにどやされる恐怖もない。朝のうちぐずついていた空が午後になって明るくなったので、少し長めの散歩に出ることにした。

 

 さてどこへ行こうか? と言っても選択肢は多くない。ほぼ毎日(週1回ぐらい休むけれど)のことだから、散歩に適したコースはもう決まっているようなもの。しかし今日は時間があるので、数週間前に歩いた「多摩の米どころ」へ行ってみようかと思う。

 

 

 

 多摩川の支流、秋川の岸辺を歩いていくと緩やかな流れの対岸に、目指すべき「米どころ」の集落が見える。周りの田んぼが黄色味を帯びて広がり、集落の屋根の彼方に多摩の山々が青く霞み、そして足元の流れは澄んでいる。

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  その上流では、釣り人軍団が流れに立ちこみ、寡黙に竿を抱えている。鮎かな? そろそろ下り鮎の季節だ思うが釣れるのだろうか? このところ暫く、鮎という魚を食していないなあ、塩焼きにしてむしゃむしゃ食いたい。

 

 東京の秋川でも鮎を放流するらしい。鮎で有名な地方の河川のように、隙間なく竿が並ぶ光景は見られないが、しかしどこでも人は釣りをする。   (中国古諺より)
    「一時間、幸せになりたかったら酒を飲みなさい。」
    「三日間、幸せになりたかったら結婚しなさい。」
    「八日間、幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。」
    「永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。」

 

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  秋川の右岸に渡ると、橋のたもとに堰が設けられている。どんぶらこ、と堰の水路に美しい水が流れ込んでいて、これが「米どころ」の中の幅2mほどの水路となって田んぼを潤す。それでここの河川敷一体の田んぼや畑は今でも現役なのだ。

 大きな川に堰を作るのは容易な技ではないと思う。川の水位が常に変動する。雨が降れば一気に上がるし、降らなければ干上がる。そんな気まぐれな流れでは、田んぼは到底維持できない。そこをどう調整するか、昔は無論のこと、今だって難しいと思う。

 

 

 集落の中の、畔道みたいな細い砂利道を歩く。人んちの庭先や背戸みたいなところを辿る。これがもし街中だったら、人んちの周りをうろつくんじゃあねえ(怒!)、と怒鳴られそうだが、昼間は家に誰もいないらしく森閑としている。

 

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  小さな小さな集落を抜けて振り返ると、水路は滔々と流れ、前回は青々と天を向いていた稲に穂ができて首を垂れていた。同じ場所に来ても、ちょっと時期が違うと別な景色が展開する。ここから見る昔ながらの家々のたたずまいがお気に入り。

 

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  田んぼの中に入ると、おじさんが畦道の草刈りをしていた。ぼうぼうと茂った夏草をきれいに刈り揃えて、稲刈りの季節を迎えるのだろう。この時期に草を刈れば、この後はあまり無謀に茂らないのかもしれない。そして畦道に彼岸花が美しく咲く。

 

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  田んぼの中にカカシ軍団。ある方のブログを真似するわけではないが、彼の地方と多摩のカカシを比べてみるのも一興、って、だがやっぱり真似か。この方(りあ(id:yuuko1220)さん)の先日のブログにカカシが出てきた。

 この人は何を隠そう、人気ブロガーにして、おしとやかなる虫愛ずる姫君、イモムシ、カナヘビ、なんでも手に乗せて一向に動じず、植物/昆虫やたら詳しく、その深い知識と探求心は、同趣味ブロガーの憧れの的、であるらしき方。

 

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 イケメン中隊。黒い肩を怒らせている人、なんとなくⅯattさんを彷彿。

 

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 はぐれ軍団。孤独に耐えて傲然と肩を怒らす。

 

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 刈上げガキンチョ軍団。まだ年端もいかないのにエライね。

 

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 紅一点軍団。スズメが、わあ、美人がいる~ と寄ってこないか?

 

 「りあ」さんのカカシと比べると、全員マネキンの首なのが、いまひとつ風情にかける。「へのへのもへじ」のヒゲ面の、見るからに凶悪な構えでないと、スズメが和んでしまわないか? ま、豊作を祈る。(りあさん、真似っこでスミマセン! )

 

 

 田んぼ地帯を過ぎると畑地帯。緑濃い里芋の大きな葉っぱが存在感を主張する、が根元には電気柵らしき装置。こんなところにも、たぶん猪、が出没する、らしい。猪の大隊が夜陰の畦道を怒涛の如く押し寄せる想像はちと恐ろしい。

 

 

 畑地帯を過ぎて、少年野球グランドが集まっている運動公園地帯に至る。広々と芝が広がり、空は一層大きくなって気分がいい。今日はだれもいないので3塁側ベンチで一服。一服しながらぼんやりこんなことを考えた。

 

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 ともあれ、我々がすることはすべて誰かの真似ではあるまいか? この世に顔を出したとたんに、すでに誰かがいて、その人たちの真似をしながらとにかく育つ。育つ過程でも、話すこと、書くこと、行動すること、すべて誰かの真似である。

 しかしせめて、大きくなった以上は誰かの真似から脱したい、と考える。ところがぎっちょん、おいそれと脱出はできない。長年の真似っこ習慣は、簡単には打ち破れそうもない。やんぬるかな! 願わくばわれに独自の考えを与えよ!

 

 

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 歩くこと3時間半  10㎞ほどとなった。

 久しぶりの長い散歩  秋9月、曇りの日よ来たれ。