doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

さんぽみち、再三

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 食っちゃ寝ばかりだと腹が出て困る。

 では、どこへ行こうか、久しぶりに谷地川のほとりを歩いてみよう。あきる野の丘陵に端を発し八王子へ抜けて多摩川に注ぐ。文字のとおり丘陵に囲まれた谷地地形だが、最近太い道路が通って、昔の鄙びは失われた。なんとなく残念。

 

 歩き始めは国道16号との交差点で、やたら車が多いし、飲食店などもひしめき、だから早々に逃れるように谷地川の川辺に出る。川面は枯草に埋められ水は見えない。それでも川べりの道は煉瓦で畳まれていて贅沢なものだ。

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 梅なのか桜なのかそれとも桃なのか、判別のつかない花が咲いている。判別がつかないのは、こちらに知識がないだけで、彼らにしてみれば歴然と区別がついている。そしてまた、地面には春一番の小さな花がここを先途と咲きだした。

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 八王子の「道の駅」の裏側を通るので、ちょっくらお邪魔する。小さな施設だが、案外人が混む。並んでいる野菜はさすがに生き々々しているなあ。トイレを借りて一服して、さあ、歩こう。春の風が心地よく吹いているのだから。

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 納屋の後ろの梅の古木が、今を盛りと咲いている。古木でも今を盛りと梅の花、と思う。こんなにいろんな花が咲き始めると、春に追いかけられているようで、心急かされるが、ちょっと立ち止まってみれば、今までもそうだったし、ひょっとするとこれからもそうなのだから、急ぐ必要はない。ゆっくりしていいのだ。

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 奥へ行くと川の水が見えてきた。覗き込むとレンギョウの陰で小魚がちらほら泳いでいる。でもメダカの学校ほど群れてはいない。向こうの丘陵は灰色にくすんで若葉の色はないが、新芽が柔らかな萌黄色に輝くのはもうすぐだろう。

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 山陰にあるお寺の周りが、薄桃色に霞んでいるから 近寄ってみたら、いろんな花がてんこ盛りだった。梅のほかに河津桜みたいな花、そして桃かなア。3月だから桃の花だって咲いてもおかしくないと思う。花の寺。

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 いよいよ川沿いの道がなくなって、街道に出た。道路標識に「あきる野」の文字が見える。街道沿いにお寺があったので立ち寄る。赤い二階建ての楼門、屋根は茅葺だ。そこいらの石に腰を下ろして昼飯。静かだなあ。

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 歩き始めると、丘陵を背にして梅の花に囲まれた民家がぽつんと。梅かおる小家の庭は昼下がり、なんて思う。とても長閑な感じがする。しばらくぼんやりと眺めていた。どんな人が住んでいるのか知らないけれど、おばあさんひとりかな。

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 いよいよ丘陵越えにかかる。といっても、ごく低い鞍部を越えるだけ。木立はまだ裸木だ。向こう側はあきる野市、これで谷地地形は終わる。春浅し低い峠を越えていく。峠を越えるとその先は異郷のような気持がする。

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 越えれば、毎度お馴染み、圏央道インターチェンジ。その向こう遥か奥多摩の山並みが幾重にも重なり合って、紫に霞んでいる。ここからは先日歩いたコースだけれど、見える景色はまた変わっているかもしれない。

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 先日は秋川の土手を歩いたが、今回は川の蛇行が作った沖積平地を歩く。それはいくつかあるのだが、しばしば畑地や田んぼになっている。ちらほらと耕す人影が見える。この光景はいつまで見られるかなあ、と思う。

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 かくのごとくして、5時ごろ帰宅。

 距離、21㎞。ちょっとやり過ぎたかなあ!

 腹は思うほどへこまない、が、楽しかったからよしとする。