doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

立川崖線を辿って

 

 このところのコロナ感染者急増

          自分の身は自分で守るなら

                  近場を一人で歩け!

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 というわけで、昭和記念公園に行ってみた。

 人気があるイチョウ並木のトンネルは、ほぼイチョウの葉っぱが散りつくしていたものの、人がいっぱい集まっていた。足元を見れば、黄金色の布を敷き詰めたように散り敷いてとてもきれいだ。木の上に葉っぱがないけれど、これでいいじゃないか。

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 思わぬ人の多さに気おされてしまった。これでも自粛の結果なのかも知れないが、感染させない、あるいはしない為には人のいない方に行くべし、と日本庭園に向かう。ちらりと頭に、待てよあそこも紅葉がある、一杯じゃないか!? という思いがよぎったが。

 案の定である。ここも人が多い。これじゃ堪らん。そそくさと何枚かの写真を撮って、公園から退散することにした。紅葉がきれいな季節、それも絵にかいたような晴天の、暖かい日だというのに、東京は何処でも人まみれの場所にしか行けない。悲しい。

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 足早に公園の出口に向かう。腹が減ってきたので、西立川口から出て、駅を通り越してコンビニで握り飯を買った。そのまままっすぐ歩いて、東京都農林総合研究センターに入る。公園と違って誰もいない。よかでないですか。

 まず目に飛び込んできたのは、秋の桜満開の図。緑濃い常緑樹を背景にして、うすらぼんやりと花びらが浮かび上がっている。紅葉の激しい色に慣れた目には、このぼんやりが、なんだか好ましいように思える。うん、よかよか。

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 ここにも、短いけれどイチョウ並木があり、葉っぱがまだ残っていた。晴天の陽に照らされて、葉っぱが眩しく煌めく。イチョウ並木の右手に、何ということもないただの原っぱがある。明るく暖かい陽がいっぱいに照っている。

 テニスコート5面ほどの広さの、ただの原っぱは草が刈り揃えられて、淡い緑色に広がっている。草の上に座って昼飯。風が、それも今日は冬にあるまじき南風が、そよそよ吹いてきて、とてつもなく気持ちがいい。まるで初夏のようだ。 

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  春風のような風に吹かれながら考える。今日これからどうする? このまま帰るのは至って面白くない。そうだナ、立川崖線でも探しながら辿ってみるか。この研究センターの、道路を挟んですぐ前に崖線が横たわっているのだから。

 多摩地方には国分寺崖線と立川(または府中)崖線がある。前者は直下に野川が流れているから解り易いが、後者は何処が崖線なのか、はっきりしない部分が多い。それを探しながら辿ってみたいと思う。それは人のいない散歩道だぞ~。

 

 

  道路を渡って崖線下に降りてみた。これが立川崖線の一部。この段丘崖は、青梅市から狛江市へと断続的に40㎞位続いているらしい(以前辿ったことがある)。この立川付近は高さが15mほどで、比較的解り易い部分だという。崖下に湧水が細々と流れていた。

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  この近くに立川市の郷土資料館がある。いつ覗いても閉まっていたが、今日は開館している。入ると受付に誰もいない。かってにパンフレットなど手にして館内を歩き回る。見学者がいないので、受付らしいおじさんが休憩室のベンチで退屈しきっていた。

 展示室はごく狭い。どこの郷土館でもおなじみの、縄文土器に始まって年代を追った説明やモノが展示されている。その中に国宝だという「六面石幢」のレプリカがあった。これは、近くの「普斉寺」に伝承されたものだという。

 また、中世にこの地を治めた豪族、立川氏に関する説明も展示されていた。現在の普済寺は立川氏の居館跡であり、当初はその居館に立川氏が普済寺を開基したものらしい。その普済寺も道すがらだから立ち寄ってみようかと思う。

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  郷土資料館を出て団地の脇道を歩く。左手近くに崖線の土手が見える。土手には様々な雑木が、晩秋の明るい陽を浴びている。団地の生垣には暗い緑の葉の中に、山茶花の花が赤い血痕のように浮き上がって見える。まだコスモスも咲いていた。

 団地が尽きるあたりで、昭和記念公園の中を通り抜けてきた残堀川に突き当たった。この川はこの場所でグイラと直角に曲げられて東へ流れているが、いつものとおり水はほとんどない。残された水たまりの中に小魚が群れ泳いでいた。

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 残堀川の遊歩道を歩く。相当な雨が降らない限り流れはほとんどないのだが、それでも都市では貴重な水場の遊歩道で、散歩の人がちらほら歩いている。左側の立川崖線がぐっと近づいてきて、崖をなしている。

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  中央線の鉄橋をくぐるとすぐ、崖線の上に登る階段があった。登っていくと普済寺の墓地で、墓石の中を擦り抜けて表側へ廻る。広い敷地の中に大きな塔頭が並んでいる。これだけ広壮な敷地らば、立川氏の居館だって楽々収まるだろうなと思う。

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 裏側に回ってみると枯山水が組んであり、その先が残堀川に落ち込む絶壁になっている。恐るおそる枯山水の石組を渡って端っこまで行ってみた。足がすくむような高さで(歳取って高所恐怖になった)、遥かに残堀川を見下ろす。

 ここが居館だったとすれば、多摩川を背にした要害の地であったろうと思う。ただ正面は立川面の平地だから、こちら側に兵力を集中して守らざるを得なかっただろう。立川市の立川氏については、もう少し調べてみようかな。

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 恐ろし気な絶壁に立って遥かに眺めれば、奥多摩の山並みが青く霞んでいる。目を回してふらつけば命が危うい場所だが、眼下は桜の巨木だから、花の時期の眺めは特にいいに違いない。中央線の電車が、ごうっと通り過ぎていった。

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  残堀川の岸辺に戻って下流に向かう。川は新奥多摩街道の下をくぐって、すぐに多摩川に合流する。その多摩川に架かるモノレールの橋げたが傾いた日に白く光っている。しかし、こちらは崖線を追いかけねばならない。

 左側の立川崖線を目で追いかけていくと、根川緑道公園に入る。ここは「造られた親水公園」であり、水源はここから湧き出す高度処理水、しかし子供たちは高度だろうが中度だろうが何だろうが、水場が楽しいにちがいない。

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 根川緑道公園を辿っていくとモノレール「柴崎体育館駅」の下に出る。さて、ここから立川崖線を辿るのが難しくなる。この駅のあたりはかって崖線があったらしく、坂道になってはいるのだが、はっきりとした崖線の形が見つからない。

 以前この辺りを歩いた時、ここに住んでいる人から、立川高校付近から矢川が流れ出し、そこが立川崖線だ、と聞いたことがある。で、立川高校辺りまで行ってみたが判然としない。それでもその付近に「これかな?」と思われる細道があった。

 

 

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 また後日この「これかな?」の道を歩いてみることにし、今日はここまでにしよう。

 午後3時を過ぎていささか風が冷たい。立川駅に向かう。

 歩行距離:15㎞。