doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

八高線・再び(金子~高麗川)

八高線のみぎひだり

      脚のむくまま気の向くままに

           烏が鳴いたら帰ろかな ~~~

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・・・自粛という名の巣籠が終わったようなので、八高線再開・・・

 

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  忘日、8:30ころ金子駅下車。駅前はし~~ん、ひっそり閑。

 

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 八高線金子駅は、狭山茶の茶畑の西側にこっそり隠れるようにしている。昔は、煙もくもくなんてもんは、大事な茶畑の中を通んじゃあねえ! とか言って邪険にされ、今でも、あら、そこに居たのね! なんて無視されているらしい。

 

 北に向かってだらだら坂を下ると、八高線は低い霞川を橋梁で跨いで北側の丘陵に突入する。金子の街並みは、北と南が丘陵に挟まれ、青梅から東流する霞川の岸辺に寄り添うように家並みが東西に続いている。

 

   

  南側の丘陵を降りたと思ったら、鼻の先に今度は北側丘陵。八高線にくっ付くように道路が丘陵を越えているが、うまい具合に一番低い鞍部を狙っているので、だらだら坂を登ったらすぐ平らになった。しかし、車がブンブン!

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 最初だけガードレールの歩道があったが、たちまちそれも消え失せ、ダンプが恐ろしい唸りと風圧を巻き上げながら通過する。や、やべえ! 飛ばされる~。おりしも向こう側から八高線の電車が来て、あっちゅう間に通過していった。

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 ダンプにどやされながらも、しかし道っぱたの花を探すところはエライ! アメリカフウロの葉っぱや種が赤く染まって大繁茂している。丘陵地帯のためか見かけない花が多く、我がポケット図鑑では特定が難しい。

 

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 ハタケニラだと思うが、実が少し違うようにも思える。つくづくと、草花の写真が下手ピイだ! ”まず植物全体を、のち花を大写しに” が常道なんだろうけれど、どうしても花ばかりに気を取られ、急かされる。花は径1cmほど。

 

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 草の中の王様だそうだが、どこがじゃ! という 容貌だ。また、茎から黄色い汁を出すので「草の黄」ともいう、と図鑑に。いつも思うのだが、野草の命名は至ってい~~かげん、てきと~、ではあるまいか?

 

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  写真が下手だから見にくいが、真ん中の黒い鞘、カラスノエンドウの成れの果てだと思う。春先のあの初々しい紅色の花が、こんな風になってしまうのかあ! 油断大敵、花の色は移りにけりな、たちまちに。

 

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 これも断定はできないが、たぶんクマイチゴだと思う。道っぱたの実はなんだってかまわず口に入れる習性があるが、これは躊躇した。なんだか葉っぱがヤバそう。図鑑では”食える”とある。失敗っぺえこいたあ! 食えばよかった!

 

 

  とか言っているうちに道は緩やかな下りになった。どうもダンプが恐ろしい。ふと見ると反対側にきれいな墓苑、もしかするとこの中を通って入間川へ下れないだろうか? 事務所のお姐さん3人は暇そう。聞いてみたら「歩いたことないから分かっりましえ~ん! 」だと!

  止む無く車ブンブンの道路に戻る。しかし程もなく入間川沿いの平地に下り、脇道を辿って川岸へ向かう。頭上に八高線の鉄橋、遥かな高みから辺りを払って睥睨、虐げられし八高線の唯一威張れるところならんか。

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 振り返れば丘陵を背負って駿河台大学のとんがり帽子。しかし学生は何処からどうやってここまで来るのだろう。近くに駅なんぞないぞ。たしかバブルのころ、大学はこぞって山の中に逃げ込んだが、今どうなっちゃってるのだろう?

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 川岸へ行ってみる。おお! 入間川の流れよ、汝、清流にあらぬとはいえ、なかなかではないか。ごろた石の河原を下流に歩いてみる。川風が汗ばんだ頬に心地よい。河原が尽きて岸辺の草むらに入る。

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 む! 草むらに道がない! 丘陵から流れる細流をどっこいと飛び越え、先が見えぬほど繁茂した葦をこいでいく。がしかし、とうとうにっちもさっちもいかなくなった。がび~ん、葦に囲まれて進むもならず退くもできず、ここに極まれり。

 どうにもならなければ即ちやむを得ない。背丈を越える葦の中に頭から潜り込んで、無理無体に突き進む。先が見えない、足元どうなってる、葉っぱが痛い。ふう~~う! 抜け出た。

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 ほうほうのていで抜け出たところは広い運動公園。汗をまき散らしてジョギングする若ぇ衆、散歩する高齢の衆、芝生の原っぱもあって、ゆるゆると寛ぐ幼子とママたち。子供たちが可愛いね。

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 そこを突切って丘陵の麓の「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」へ。う~~む、長ぇ名前だし、意味分らんし、変てこりんの建物が並ぶし。しかしこれは、子供の記憶にどう残るのだろう? やはり見慣れぬ変てこりん、なのでは?

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 やはりここも幼子と若いママたちがちらほら、中年夫婦がぽつりぽつり。風が心地よいので、へんてこりんなベンチで大休憩。靴を脱ぎ靴下も剥ぎ取ってゆったり。しかし座り心地はいまいちだなあ!

 

 

 入間川の橋の下手に西武線の鉄橋、これは秩父方面へ行く池袋線だね。西武線は複雑怪奇に曲がるから、ほんとわけ分らん。街中へ入ってすぐに円照寺という寺があった。境内にドカンと池があり水蓮が咲いている。境内森閑。

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 さて、街の中を突っ切らねばならない。昼日中12時ころ。細道である。車が通る。並木などない。要するに日影がない。ちっとも面白くない。たちまち疲れる。市街地が果てしもなく続くような気がする。

 道の分岐に来たら、そのときの気分で行きたい方へ行く、というのがこの彷徨の建前、ただし八高線のルートを頭の片隅に残しながら。だが今はいきたい方なんてない。ともかく早く街中を抜けたい。

 へろへろ、よたよた、息も絶えだえに歩くこと1時間以上、ようやく郊外らしく畑が多くなってきた。前を行く制服の女の子、聞いてみたらこれから授業開始なんだそうだ。2部授業らしい、たいへんだねえ、お疲れ様。

 

 

 ふと脇を見ると細い流れがあって土手の草がキレイに刈ってある。耳の裏あたりで”この土手を歩くべし”と言う者がいた。しかし草が刈ってあったのは、人家のあたりだけで畑が広がると土手の草は伸び放題の茫々。

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 しかしながら、獣道みたいだが歩けないわけではない。ここでもまた草花を探す。膝辺りまでの牧草のような草が一面で、花はなかなかない。畑の脇を探したり、これでも相応に努力はするのだ。

 

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 この写真を撮って帰宅後図鑑を見てみたら、いやあ、あざみの類は随分いっぱいあるんだねえ、驚いた。これは「ノアザミ」だと思うが、何しろ種類が多いので全く自信はない。

 

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 またまた花が小さく写り、分かりにくいが「スカシタゴボウ」ではないかと思う。葉っぱがゴボウらしくないのでは? 図鑑曰く「名の由来は不明」。

分らんちんがいっぱいあった。(どなたかご教授を、と他力本願)

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 これはしばしば目にするのだけれど、わが図鑑になし。

 

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 これも同様。これじゃ花が小さすぎて分るのも解らないか?

 

 

 行くほどに草は凶暴さを増し、またしても藪こぎ状態となった。いったん歩き始めたら「戻る!」と言うのは、おおきに癪である。藪をこごうがへたり込もうが、それが終わるまでは、ひたすら歩くべし! なのだ。

 

 田んぼが見えてきて、草こぎ作業も少しホッとする。う~~む、日本のいい風景だなあ。こういう風景が2千回繰り返されたのかあ! そして、いいのか悪いのか、全国から消えていきつつある風景。(風流の初めや奥の田植え歌=芭蕉

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 丘陵の麓にとりかかって細道は森の中へと続く。八高線は丘陵の端っこを登ったり下ったりする。下ったところに民家がある、そのパターンの繰り返し。このあたりは勿論初めて歩くが、田舎道の風情が大変よろしい。

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 緩やかな丘陵の坂を上っていくと、林の中から八高線の線路。このあたりはまだ電車区間だから、昔のようにぶるるんぶるるんと、あえぎながらディーゼル車が勾配を登っていく姿は見られなくなった。

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 線路を越えて長福寺。見計らったように境内に東屋がある。ここで遅い昼飯にすべえ。足首がおかしい、痛い、どうしたんだろう。時折こうなる。また靴も靴下も脱いで裸足でくつろぐ。

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 そこの梅の木で黄色い実を拾った。すんげぇいい香りがする。青梅は腹を壊す、と言うが、余りの旨そうな香りに誘惑されて、つい小さいのをかぷり。いやまあ、香りほど旨くはない。腹が特急になったっても知らんぞ!

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 あと二つを持ち帰った。いま机の隅で馥郁と香りを流している。今年も鬼殿が梅を漬けるなら、南高梅の大きな熟した奴を、鬼の目を盗んでいただく所存である。まだ腹を壊したことがないから、だいじょうぶだあ~。

 

 

 丘陵をいったん下って宮沢湖へ行く。ロックダムでせき止めた溜池みたいな水たまりだが、どうも昔と様変わりしている。広い駐車場ができていて、池に向かう通路には色とりどりの傘がぶらさがっている。

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 池の岸辺にはお土産屋さんだとか食事処などが並んでいた。浦島太郎の気分。帰宅してググってみたら、メッツァ(メッツァビレッジ・ムーミンバレーパーク)とかいう商業施設らしい。いつの間にこんなになった?

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 なんだか清里の最初のころを彷彿とさせる(行ったこたぁねぇけどよ)。ここもまた清里になるのかあ!? おしゃれ~な場所に用はない身分だから、水辺をぼんやりと眺める。水は昔とちっとも変わらない。

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 堰堤を渡る。堰堤からの眺めがいい、吹く風がいい。今日は藪こぎになったり、草こぎになったり、果ては街中をよたよたする羽目になったりしたが、本来はこういう場所を歩きたい。草が生えている土の道が一番いい。

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 向こう側に下って、飯能市から日高市に入る。とてもよさそうな田んぼのあぜ道があった。この先また藪こぎかあ? と思たが入る。最後にちょっと藪らしくなったが木陰の土の道に出た。おーし、よし。

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 土の道を抜けると街中に入る。途端に足首が痛い、膝までカクカクする。今日は夕暮れまで歩こうと思ったが、これでは歩けない。この辺で切り上げて、そうだ、盛蕎麦で一杯はどうだ。さんせい、大賛成!

 

 
 鼻先の人参、盛蕎麦で一杯だけを頼りに、カクカクする膝と痛い足首を引きずって街中をよたよた進む。グーグルに相談したら、駅近くの店が営業中だという。もう欲も得もない、盛蕎麦で一杯が目の前でチラクラする。

 

 ようやく、やっと、死ぬ思いで蕎麦屋! がびがび、がび~~ん!!「本日臨時休業」。へたへたとへたり込みそうになった時、脇の扉から妙齢の女性が出てきた、「すみませ~~ん、急に病院へ」「グーグルは営業中だと・・・」

 「そうなんですよ。いつもは営業してます。今日だけ臨時休業で、すみませ~~ん」 きれいな人だったから、あとの言葉は全部飲み込んで「また来ます、しゅん」。傍にあったスーパーのサービスセンターの椅子でへたり込み動けず。

 

 

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 失意どん底の体を引きずり引きずり、高麗川駅へ。

 時刻はそれでも4時過ぎ。

 こうなったら早く帰宅してふてくされてまえ!

 歩行距離(歩数換算):20㎞ (だから歩き過ぎだってば! )