doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

春の兆し

 

f:id:donitia:20210108114900j:plain

 

 

 いつまでも頭上に黒い雲が覆いかぶさっていて、大いに鬱陶しい。

 政府の、遅きに失しかつ不徹底なる対策が、この憂愁の元凶ならんや。こんな訳の分からんコロナなるもので、空しくなってたまるものか、わが身は自分で守れ! 故に当面の心得二つ。コロナに罹るな! 惑わされるな自分で判断せよ! と意気込む。 

 

f:id:donitia:20210108115823j:plain

 意気込んだついでに、人が少ないであろう土手道を散歩。時として川べりに立って、ぼう~っと流れを見る。流れるとも見えぬ川面を風が渡る。冬枯れの河川敷にススキが揺れている。空にトンビがゆったりと舞っている。

 

 

f:id:donitia:20210108121446j:plain

 わが愁いどこ吹く風か、あっけらかんと空が青い。河川敷の一角に伸びた萱がせせら笑う。おみぁさん方は哀れだのう、目にも見えぬ塵くずのような生き物に恐れおののき、大恐慌。わがもの顔で驕ってみても、たかがそんな体たらく。イ~ヒヒヒ。

 

 

 土手道では、散歩する人、走る人、自転車、時たま行き会うけれど、街の中とは比べるべくもなく少ない。だからマスクをしないで人に行き会う時はなるべく距離を取る。しかし大概の人は散歩でもマスクをしている。なんだか肩身が狭いゾ。

 河川敷に作られた小公園を通過する。芝生の広場で親子が凧揚げをしている。風が弱いから難しい。子供の時、豆粒ほども小さく高々と青空に上がっていた凧を見て感動した。しかし自分であんなに高く上げたことは一度もない。そんなことを思いだした。

 

 

f:id:donitia:20210108155923j:plain

  6,7㎞歩いた公園で昼飯。芝生の土手に座って裸足になる。陽はぽかぽかと暖かい。向こうに小さな姉妹とお母さんが遊んでいる。可愛いなと思うけれど近寄ってはいけない。なにごとであれ、とにかく年寄りは遠くから眺めているに限る。

 世の中の出来事もただ遠くから眺める。あとのことは若い人にお願いして、自分の面倒でも見ていればいい。それだって十分ではないが、これは仕方がない。さて、昼飯も食ったし、一服も済んだ。風が出てきたから帰るとしよう。

 

 

f:id:donitia:20210108161447j:plain

 帰り道はハケの下道を行くことにした。そこで見つけた春の先駆け。梅が満開。葉を落とした木々の中で、そこだけぱっと明るい。こんなに早く咲くんだったかなあ。毎年花は咲くのだけれど、ただ気が浮かれているばかりで、咲く時期の記憶がない。

 

f:id:donitia:20210108161831j:plain

 昔見た一本の梅を思い出した。早咲きの梅なのか、雪の中で紅梅が、凛として咲いていた。まだ早すぎるだろうになぁ、これから寒いのになあ、と思いながらその孤高の美しさに、だいぶ長い間見とれていたような気がする。

 

 

 恐ろしいほどの風が吹いてきた。道端の枯葉がすごい勢いで向こうへ飛び去って行く。前線が通過していくのだろうか? さあ、寒さはこれからだゾ、と言っているように帽子を飛ばした。足が急ぐ。

 

 

 

f:id:donitia:20210108163402j:plain

 

 

  

 帰宅は3時半ごろ、風は収まっていた。

 歩いた距離は13㎞ぐらい。ちょうどいい。

 春はもう、ついその先まで来ているらしい。