doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

散歩さ行くだ

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 秋雨前線が冷たい空気を連れて居座り、うすら寒い日が続いた。

 空に毎日黒雲が広がり、湿っぽい空気が重く垂れこめ、それまでの真夏の、35度の気温が一気に20度。とんでもない話であって、手も足も出ない。布団に潜り込んで恨めしげに空を仰いで、めげていた。

 

 だが、今日は陽ざしが蘇ってくるという予報、朝から青空が覗いた。となれば、是が非でも、誰が何と言おうと、なにがなんでも表に出なければならぬ。どこへ行くというあてもないが、ともかくそこいらを、ただただ無暗に歩いて来ようと思う。

 

 

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 多摩川は今日も相変わらずあたふたと流れている。今まで山に降った雨で少し増水している。丘陵を覆う森はまだ夏の緑だけれど、わずかに色を変えた木もあり、かすかに秋の訪れを感じさせる。

 

 

 両側にかぶさった河川敷の雑木を抜けると空がぱっと広がった。少年野球のグランドが10個ほど連なる河川敷公園、緑の芝生が目に沁みる。そこで5,6人のおじさんが手製の紙飛行機を飛ばしていた。

 小さな飛行機はゴムを引っ張って、ぎゅい~んと空に駆け上がり、20メートルの高さで水平飛行となり、ふわふわゆらゆらと旋回しながら芝生のグランドに降りてくる。おじさんたちは飽きることなく、何回もなんかいもぎゅい~んを繰り返す。

 ホームベースのベンチに腰掛けて見学。傍のベンチに手製の紙飛行機が20機も置いてある。おじさんの一人が返ってきた。問いかけたら、ああに、遊びだよ、わしゃ10年ほどかな、長い人は30年、40年、まだ駆け出しさ。という。うーむ、紙飛行機40年!

 

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 多摩地方有数の田んぼ地帯(かな?)。ほんのりと黄色くなってきた田の面に稲穂が首を垂れて揺れる。すっかり忘れていた言葉、実るほど首を垂れる・・・を思い出した。ちっとも実っちゃあいないのに、無理くり頭を上げたがるから忘れていた。

 今年も、イケメンカカシたちは元気に務めを果たしているようで慶賀の至り。しかしこんなイケメンでは雀どもが恐れおののくや否や、逆に近寄ってきたりしないのだろうか? 雀だって女性がいるだろうに!

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 畑で一生懸命働いている人がいる。その脇を暇を持て余して通るのは、いささか気が引け、なんだか申し訳ないような気がする。しかし考えてみれば、畑仕事など何もできはしないのだし、世に役立つ存在ではないから仕方ないか?

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 稲株の脇に目立つ白い花、え~と、これは確かオモダカ、某女性のブログで教えられた。教えてもらっても三歩で忘れるから油断ならねえ。もう咲いてないだろうと思ったが、まだいたんだなあ、よしよし。

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 ブログは世間を広げてくれたような気がする。狭い世間で生きてきて、何も知らなかったが、「若い女性が一人で『深夜特急』を敢行すること」「車中泊という放浪の形があること」「世界中を『ただ歩いていくだけ』の人生を選ぶこと」などなど、驚いてあんぐり口を開くばかりだが、世間は広い人は様々をブログで教えられた。

 

 

 秋に差し掛かったからだろうか、今日はいろんな花を見つけた。

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 小さな里道を抜け、また別な里道に入り、それも抜けて里の端っこの小さな公園で握り飯を齧って初秋の空の下で休憩し、曇ったり晴れたりする中を歩き、折り返し点の橋を渡って秋川の対岸に渡った。

 対岸の土手道を歩いているうちに、いつの間にか河原に迷い込んで往生し、深い藪をほうほうの体で抜け出してアーチの美しい橋があった。向こう岸で大学生らしい男女が、びーびーきゅう、なるものを実行しているらしい。

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 秋川を下って多摩川に合流し、よたよたと土手を歩く。秋が来たと、さやかではないけれど、あの鬼のような手ひどい暑さはなんとなく影を潜めたらしい。陽が短くなって、どっちを向いても暗い一方だが、もし来年があるなら、また明るくなる。

 それ迄また、多摩川の川水はせこせこと忙し気に、しかし休むこともなく流れ続けるのだろうと思う。その流れに比べれば、余りにも短い。だがそんなどうにもならんことをどうしようたって、どうにもならない。

 

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 あんがい長い散歩になった、19.4㎞。

 4時ころ帰宅してシャワーを浴びたら、へろへろになって

 久しぶりなので、翌日はあっちゃこっちゃ痛い。