doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

備忘録・・・『日本企業の復活力』を読んで

 図書館で見つけ、読んでみた。

 

 

 ここ最近、日本の産業力はいったいどうなってしまったんだろう!?

 と考えることが多くなった。想い起こせば、かっては「日の丸半導体」とか言われ、日本の電子機器の宣伝看板があらゆる国にあふれ、世界を席巻していたように思うのだが、最近はぱったりとそういう光景を見なくなった。

 いつの間にか日本の産業は衰退に衰退を重ね、日本全体がどめどなく劣化しているように思える。そこへもってきてこのタイトルなので読んでみた。もとより経済関係も大音痴の身ゆえ読んでも、誤読、誤理解、の積み重ねなのだが、備忘録として。

 

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 著書の要点を自分なりに整理してみる。

1 コロナ対応において日本は先進国のなかで、圧倒的に優等生だった。

 これは何も政府の対応がよかったからではなく、市民の文化として「一配慮、一手間」の慣習がしっかりと根付いているため、マスク、手洗い、うがい、密回避の自粛が励行されたためである。このため、コロナ禍は圧倒的に軽微であった。

 「下のグラフは、本書にあった表を棒グラフに改変したもの。タイトルは「主要国の新型コロナウイルス関連の死者、陽性者、PCR検査の累計数」のうち検査陽性率・陽性者死亡率を除いたもの。数値はいずれも百万人当たり。の系列は死者数、の系列は陽性者数、の系列は検査数を表す」

 

 

 

2 この状況は日本の産業にとって大きな強みである

 このように日本においてコロナ禍が圧倒的に軽微であったため、コロナ後における日本企業のコロナ禍からの立直りは、他の国に比べダントツに楽であるはず。それが日本企業の復活の可能性であり、またチャンスでもある。

 

3 コロナ禍は日本の産業にとって千載一遇のチャンスだ。

 バブル崩壊以後、日本の産業界は一様に立ちすくんでしまい、新規投資もせずひたすら内部留保の積増しに励み、新たな技術も製品も生み出すことはなかった。そんな縮み上った日本の産業を、今回のコロナ禍が背中を突き飛ばす状況が生まれている。

 日本の産業全体が、立ちすくんで内部留保積み増しという「ぬるま湯」に浸かって、ぬくぬくとしているところへ、コロナ禍は熱湯を浴びかける効果がある。ぬくぬくとまどろんでいるところへ熱湯を浴び、初めて目が覚める、というわけである。

 

                             (本書よりコピー)

 「上の図を見れば、2000年ごろを境にして設備投資が右肩下がりの低迷、それに比べ自己資金比率(内部留保)はどこまでも上がっていることが一目瞭然、言ってみれば、お金はあるのに、なあ~~にもしないで昼寝している。だから、このコロナ禍のショックが熱湯となって、目が覚める。」

 

 

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 さて、ここからが本論の、「日本企業こうすべし」という提言になるのだが、正直言って、自分にはその当否の判別が付かない。仕方がないので、ここに著者の提言の項目を並べ、それについて頭に浮かんだことを簡記するにとどめる。

提言

1 デジタル化の遅れを大わらわで取り戻すべし

 「日本は「デジタル敗戦国」というのだそうである。確かに、ワクチン接種の受付でも、プリントアウトした紙にマーカーで線を引いて対応していた。それを見ただけで「なんじゃこりゃ! 」という気もするが、このところの「マイナカード」を巡るあれやこれや、とてもデジタル化が進展しているとは思われない。」

 このような状況を認識して、行政、企業とも、大わらわでデジタル化を進めなければならない、と提言している。何もアメリカのGAFAM(GoogleAppleFacebookAmazonMicrosoft)になれと言うのじゃない。それはもう無理だから、せめて世界並みになる、ということ。

 その具体化は、

 ・組織マネジメントのデジタル化

 ・デジタル化のための国内デジタル需要の増加

 ・デジタル関連産業の進化・発展

 

2 逆張りのグローバリゼーション加速

 コロナ禍で、人、モノが越えるべき国境が高くなった。この状況の下で敢えてグローバリゼーションを加速することが日本企業にとって必要だ、と提言している。その理由は、●日本は国際的にみて遅れていること。●日本は加速させるために有利な状況であること。●日本の将来にグローバリゼーションが必用であること。を説く。

 

 「本誌掲載の表をグラフ化した。日本は輸出も対外投資もそこそこの低空飛行、韓国とあまり違いはない」

 

 

3 雇用と人事、改革待ったなし

 「日本の雇用形態は「メンバーシップ型(人に仕事を付ける)」で、欧米のほとんどは「ジョブ型(仕事に人を付ける)」だそうである(こんなことさえ知らなかった)。そのため、成果主義も形ばかり、余剰人員整理もままならぬ、ということらしい。」

 そこで著者が提言することは、この古い日本の労働形態を打破すべし、ということになる。ただ闇雲にジョブ型を導入したり、首を切ることではなく、産業の再編成を行い、新しい分野への配置転換、旧分野での人材再配置を行い、それでも余剰となれば、納得ずくの退職勧告もやむなし、というもの。そのうえで、

 ●古くからの因縁で実現できなかったもの

 ●管理職の能力不足への対応

 ●若手の抜擢とそれに伴う格差拡大の許容

を進めるべきだと説く。

 

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  以上がおおよその中身であるが、この本は2020.12という時期に書かれている。まだコロナ絶賛真っ最中であるが、著者によれば一刻も早くこの著書を公にし、日本企業に改革の準備をしてもらいたくて、敢えて急ぎ出版したとのこと。

 コロナ禍はこの出版から2年間、感染の拡大があり今はコロナ後と言ってもいい時期のように見える。それでウィズコロナの時期に日本企業は、ここで提言されているような準備はできたのだろうか?

 もしかしてもしかすると、さあコロナは過ぎた、ってんで、またぞろぬるま湯に浸るのだろうか? それとも自分が知らないだけで、日本の企業は既に大改革に向けて動き始めていて、そろそろその実績も上がる頃なのだろうか?

 

 企業の大改革が恙なく進行中し、また日本が元気な姿に立ち戻ることを祈って止まない。

 

 (いやあ、本を要約するということは難しいものだ、なにを言ってるのか分からんチンになってしまった)