doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

立川崖線を探せ②

 

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 立川崖線を探しながら谷保駅前で昼飯にし、蕎麦を啜りながら一杯引っ掛けた。

 なので頭の中に、ちょうど今日のような柔らかな春霞が棚引いて大変いい気持である。崖線に沿って南部線脇を歩くと、ぽかぽかと背中に陽が射して、微風が頬をなでて、蕩けてしまいそうだが、いや、ここで揮発してしまうわけにはいかない。

 

 

 ハケ(崖)は次第に低くなって、どうやら南武線の下に潜りその先の都道256号(前甲州街道)の下へ続いているらしい。それらを渡って降りて行くと定かではないが、わずかに傾斜した面に住宅が並んでいた。この辺りは崖線がごちゃごちゃしている。

 

 ひょいと谷保天神の厳島神社に出た。湧水の中に祀ってあり、お参りの人が結構いる。池の上に差し掛かる紅梅がちょうど満開で、長閑な早春の陽を一杯に浴びている。心なしか、池に湧き出す水量が少なくなったなあ、と感じた。

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 谷保天神の湧水の流れを辿っていけば立川崖線の真下を通るのだが、少し南側にずれると、そこは昔の府中用水が流れていた田んぼと畑の一角、今でも畑が広々と開けている。ただ近年はだんだんと住宅が浸食してきて埋められてきた。それにしても、国立市の裏側(?)に、ちょっと前まで田んぼがあったなんてなあ!f:id:donitia:20200224141612j:plain



 府中用水は江戸初期に作られた農業用水だという。詳しいことは知らないが、多摩川から取水し、矢川の流れを合わせ、この青柳地区を潤し、下流は府中にも用水路が続いていていたという。多摩地方ではコメがほぼ採れないから、貴重な場所だったろう。f:id:donitia:20200227162305p:plain

                     (画像は国立市ホームページより/一部改変)

 

  さて、立川崖線に戻って、谷保天神からの細い川を下流に行くが、少し行くと川床は干上がって水がない。これも止むを得なければ仕方がない。崖線直下のきれいに整備された細道を歩く。ぬくぬくと風に吹かれ「のどか」を全身に浴びているような気分だ。

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 田んぼの脇や家の裏側の細道をたどたどしく辿っていくと、やがて南武線西府駅の裏あたりとなる。ここにほんのわずかな湧き水が崖の途中から滴り落ちている。ぽとぽとぽとぽと、しかし休みなくした滴っているので、少し流れができた。

 この川が府中崖線緑地へとつながり、小さいけれどなかなか気持ちのいい公園になっている。とうとうと水が流れていれば、どれほど憩いの場所となるか、しかし今は冬だから干上がっているのも止むを得ないのだろう。

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 子供たちだってばしゃばしゃ、水遊びをしたいだろうけれど、我らの時代はとにかく住むことに精いっぱいで、水辺の環境とか、湧水の保全とか、そういうことに意識が廻らなかったんだ、ごめんねえ!

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 でもって、分倍河原駅まで来た。駅の南武線ホームの向こう側は立川崖線の上になる。ここまで、立川崖線を探しつつ迷いつつ、ようようやってきたが、この先もまたエラク手ごわく探しデがありそうな気がする。ともあれこの先は他日を期す。

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 立川崖線を探すのは意外と手ごわい。

 崖線が埋められ、均され、家が建ち、はっきり分からない部分が多い。

 しかし、こうして歩くのが好きだから、暇でもあるしまた辿ってみようと思う。

 

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(ひとまず終わり)