玉川上水から付近へ水を引く分水は一時33か所もあったという。
現在ではその一部がひっそりと残されているが、多くは埋め立てられ消えてしまった。
その一つ、殿ヶ谷分水はその跡地が緑道として整備され残されている。
不要不急の電車に乗るんじゃねえ! との仰せ付けなので、止むを得ざれば仰せに従い、この緑道でもふらふらしてみようかと思う。今回も道っ端の花を友とし、そよ吹く風を案内人にして、さあ参らしょうぞ!
車の来ない道は、都市での貴重なさんぽ道だ。ときどき人に行き交うが、マスクをせざりし理由は、息でメガネが曇る、そして息苦しい、鬱陶しい、せめて散歩ぐらいはゆったりのんびりと行いたいから、敢えてそれを許せない人、曲げてご容赦を!!
埋められた分水の緑道は、それなりに手入れされた植え込みに縁どられ、いまは躑躅が朽ちてしまったとは言え、緑は気持ちがええ。と思ったら、花の中のベンチに埋もれて、にーちゃんが本を読んでいた。若え衆にとっちゃ、この自粛はつらいだろうなあ。ましてや、子供たちにおいてをや。
こういう道っぱたにも小さな花が咲いている。名前を知らないから、すこし調べてみようかと思い、よくよく見てみることにした。なんとなれば虫眼鏡だって持参している。けれど悲しいことに、帰宅するころには、なんちゅうことか! すっからかんに印象が消えてしまっているのだ。覚える前に忘れる!
①これは以前教えてもらった「アメリカフウロ」だろう。せっかく教えてもらっても、時と場所が違うと判断がつかなくなる始末だ。情けなや~~~。
②ただこれとよく似ているが、少し違うような花もあった。葉っぱと、棘みたいな実の形がよく似ている。しかし花と茎が赤だから、上のものとは違うような気もする。亜種とかの関係になるのだろうか? たかが道っ端の”雑草”といえどなかなか手ごわい。
緑道の方は屈曲しながら案外と遠くまで続いている。江戸時代の分水に関する説明板などは見当たらないから、その辺りのことはちっとも分らない。また、多摩地方の分水については比較的今に残されているものが多いのに、この分水はどうして埋めてしまったのか? う~む、よくわからんゾ。
今日は気温が25℃を越えていて日差しは暑いが、風がありカラっとした空気なのであまり汗は滴らない。しかしもう間もなく梅雨になるだろう。じめじめの高温が長く続いたら、これは又しんどいことじゃが、それでもふらふら歩くんだろうなあ。
③ところで、これは「ニワゼキショウ」だろうと思うのだが、花が白っぽい。(写真では水色に見えるが、光の加減でそのように写ってしまった) 白い花は今まで見たことがない。ほんとに「ニワゼキショウ」かあ?
④実は前回分らなかった花の名をポケット図鑑で見つけたように思う。図鑑によれば、これは「ヒメフウロ」ではあるまいか? 何とかフウロは、みな花が1cmぐらいで小さく、見分けが難しいし、一体フウロってなんなんだ?
殿ヶ谷緑道は阿豆佐味天神社の鳥居を目の前にして終わった。江戸初期のころ、狭山丘陵山麓の地主が砂川に新田を開発して、その新田の守護として瑞穂の同名神社を勧請したものと言われている。ごくごく小さく簡素な御社だ。
さてこれからどうしようか。羽村から村山貯水池へ水を引いた、導水管が埋まっている一直線の細道の取っ掛かりを探してみようかと思う。前回は基地の西端から羽村堰まで歩いた。前回歩いて面白かったので、後半部分も歩いてみたいと思う。
次は基地の東端から村山貯水池の近くまで歩きたい。が、その取っ掛かりがよくわからない。このまま横田基地の東の縁を回って、基地を横断した導水管が埋まっているその道が地上に顔を出した地点を探しておきたい。
てなわけで、普通の道路をぽくりぽくりと歩いて北に向かう。車ぶんぶんは嫌だからなるべく細道を選んでいく。そんな道の端の僅かな土にも小さい花が咲いている。道っ端の花は、隙あらばどこにでも咲こうとする。生命の強靭と、同時に脆さを思う。
⑤この黄色い粒つぶはいったい何じゃろかいな。図鑑で一番似ているのは「コメツブツメクサ」というものだけれど、果たしてそれで間違いないのか? 何しろ花(といっていいのかどうか)が3mmぐらいと小さくて、同定が難しかあ!
⑥下のはもう、図鑑でも見かけない。第一写真は花なのか実なのかさえ定かならず。上の粒つぶと同じところに生えていた。これも花らしきものはごく小さい。よく見ると葉っぱも、うんと小さくて節のところに対生しているいるようだ。虫眼鏡で観察すべきだったが後の祭り、何のために持ち歩いているんだあ!?
ちっこい花ばかりで、ピンが呆けてて、それを恥ずかしげもなくアップして、バカだねえ! そこで今度は少しく大きな花を写した。大きけりゃあなんとかなるかと言えば、なんともなるわけないが、小さいのばかりだと目が痛くなってしょうがねえ。
⑦左は花なのか実なのかそれさえ分からずなのだが、わずかに赤い色をしているので花だろうと思った。それとも実が赤くなったものだろうか。スイバかギシギシみたいな形をしているが、なんだろうなあ。う~む、謎は謎を呼ぶ。
⑧右はアヤメであろうか。この類は、ショウブ、ハナショウブ、カキツバタなど、いろいろあるらしく、どれがなんだか、という感じだ。水辺でなくて道っ端に咲いていたからアヤメかなと思った。そんな程度の認識だから、怪し~~ゾ。
アヤメのように花が似ていて、なにがなんだかというのも無数にある。月見草などもサッパリ区別がつかない。もっとこう、キッパリさっぱりと区別がつくようにしてもらいたい。似ているんなら、いっそのことどれか一本に収れんしてもらいたい。
⑨昼間っから咲いているのだから、ヒルガオだと思うのだが違うらしい。図鑑によれば「ヒルザキツキミソウ」というらしいのだ。ツキミソウなら花を黄色くしろよな、なんでヒルガオみたいな顔をして澄ましているんだ!
⓾こちらがどうも「ヒルガオ」らしい。全く紛らわしい。よくみりゃあ違うだろ、と言われても、よく見ないのが真骨頂なのだから仕方がない。このほかにもアメリカなんとか、とかコヒルガオなんちゃらとか、もう頭がパンクだ!
(これまでの花の名が分らないので教えてください)
さてさて、導水管の道の方は、どげになっちょるかね? スマホ地図を見ながら探しさがし行ってみると、導水管細道は横田基地のフェンスから姿を現し、狭山丘陵へ向かって一直線に延びていた。向こうからご夫婦が仲良く歩いてくる。
さてこれで分かったから、もう帰ろうと思う。この道を少し歩いてみたが、なんだかよく整備され過ぎていて、前回歩いた、基地の西側のような面白みに欠けるけれど、それはまあ、贅沢、高望み、自分勝手、というものだろう。次はこの道を歩くことにした。
普通の道をとぼとぼ、ふらふら歩いて、駅近くに戻ったから、ポケットからマスクを出して付け、本屋に潜入、図鑑をもう一冊買った。「ポケット図鑑・身近な草花300・郊外編」。これで盤石か? ンなわけないよな!
花の名を知る、ということは、年老いては大変なことだ、と大いに実感している。目が悪いから同定が難しい、特徴が掴めない、花の印象をすぐさま忘れる、名前を3秒で忘れる、なにもかも朝霧のように頭から消える。
でもまあ、散歩のつれずれに、ゆるゆると、じっくりと、
覚えちゃあ忘れ、忘れちゃあ覚えして、
過ごしていければ、それでいいや。
本日の歩行距離、約16㎞。
晩のショウチューが旨かとですたい。