doniti 日誌

( おもしろき こともある世を おもしろく)

ひーはー三昧の日

 

 

 なんだか本式の春が来てしまったようだ。

 こんなことでいいのか!? オンダンカか? と思うけれど、来てしまったものは仕方がない。で、いろいろ芽吹くのではないかと考え、もぞもぞと這いだして散歩。まだ遠くへ行くまでの元気が湧ないから、近場をちょろっとやっつけよう。

 それで勇躍として歩き始めたが、たちまち大変なことに気づいた。忘れ物、地図、スマートホン、汗拭い。どれもこれも、無くてはならぬものばかり。粗忽、阿保さ加減にがっくりと膝が崩れた、が、戻る気はない。いったん出たからには何がなんでもこれでいく。スマホがことのほかイタイ。時計代わりだから、時刻が全く分からない。

 

 

 車ぶんぶんの大きな街道からひょいっと脇に入って丘陵に上る。たかが標高差6,70mの尾根に上るのに、すでにして汗だくのひーひーはあはあ状態、つくづく情けないなあ、いい加減にしろよ自分! 暑くてたまらず一枚脱皮。

 尾根道脇の灌木の芽を覗くと、ヤマツツジやら山桜やらが、小さな芽を付けている。もちろん写したが、なんということだろう! 帰宅してよく見るとピントがずれてみんなぼけぼけ、即削除した。なんだかなあ!。いつまでも上達せず。

 結果的に「芽吹きのとき」は大失敗だったのだが、それでもいくつかの芽吹きをこの目で見られてよかったと思う。いつもはそのことに感心を寄せないから、見ていて見えず、目に入って感ぜずだったのだ。それを反省する。




 川を見下ろす高台から下界を見ると、春霞に茫々と煙っているような案配だが、これも写真のボケらしい。ちらちらハイカーもいて、ベンチで昼飯のご様子。いまなん時かわからないが、こっちもおやつを食っておくことにした。


 

 いったん丘陵を降りて、街の裏側の小道を辿る。ミツバツツジの芽はまだ硬そうだが、これは油断できない。咲くとなったら一気呵成、たちまち花を開く。名前の知らない小さな赤い蕾、小さな桜の一種なんだろうか。

 スイセンとアオキの芽は山陰に咲いていた。アオキは同時に赤い実も付けているようだ。芽吹きと実成が同時、というのは不思議だ。世の中は不思議なこと、知らないことに満ちているが、それを探ってみようという根気はもうない。流れるままに。

 

 



 こんどはまた別の丘陵を登らなければならない。細い道だがときおり車が通る。登り始めがきつい、とは言え、たかが標高差80m、誰もが屁でもなく上るのだろうが、またまた息も絶え足も動かず、ひーはー言っては休み、またちょこっと登る。
 イモムシが足を怪我した如く登り続け、それでも何とかてっぺんまで来た。ほかほか陽の当たる道を下っていると、どこかで鶯が鳴いた。それも生意気なことに、ホーホケキョ~とまっとうに鳴いた。

 これもまた、ずいぶん気が早いのじゃなかろうか。いつもは4月下旬ころ、へたくそな鳴き方をするように思う。この分だと今年はいろいろと変てこりんなことが起りそうな気がする。といってもまあ、季節がちょっとズレる程度だろうけれど。

 

 

 丘陵を下りきったところにお寺があった。階段がまっすぐ上に登っている。何かに誘われるように階段を上ったが、登るとさらに階段、それを登ってまた階段、2,30段の階段が3連ちゃん、草臥れるではないか!

 本堂の前の掲示板(何と言うのだろう)に、墨痕淋漓「この生を空(むな)しゅうするなかれ」と書いてある。一瞬どきりとした。ベンチに座って昼飯(時刻はわからないが)を食いながら、考えてみた。

 「空しゅうするなかれ」といわれたって、どういう生き方を「空しい」というのだ。しかしどきりとした、ということはわが生活そのものが空しいの典型なのか? どうもそうらしいけれど、いまひとつピンとこない。休憩しに上ったのに、怒られてはたまらん。


 

 谷筋に降りて街道を突っ切り、細い川を越え、でかい道路を下をくぐって向かい側の丘陵に取付く。また昇りだ! 標高差60mの丘陵をゴルフ場脇の道をうんこらはーひー言いながら、這うように上る。

 ゴルフ場を過ぎてっぺんに出ると舗装道になった。地図もスマホもないので、どこなのかさっぱり分からん。そのうち砂利道に入って雑木林の中を歩く。森が深くて木々の梢しか見えない。どこへ向かっているんだろう。

 とてもあてにできない勘で丘陵の端っこへ向かっているつもりなのだが、行けども行けども落ち葉の積る林の道だ。疲れてきて歩くのさえ嫌になった。道っぱたに、小さな小さな白い花が咲いている。そこでみっしりと休む。ハコベの花かなあ。

 

 

 と、道脇に一軒の住宅が現れた。なんとそこの畑でおっさんが苗を植えているではないか。神よ、助かったぜ。道を聞くと、ああ行ってこう行ってと親切、ありがたや、これでこの森から脱出できるぜよ。 

 

 

 ああ行ってこう行ったつもりだが、これが結構長かった。ほとほと歩くのが嫌になった頃、ようやく丘陵を抜け、谷筋の中に降りてきた。陽が傾いているからもう4時ごろだろうかと推測するが無論わからない。(後刻コンビニで見たら3時だった)

 川っぷちを歩き、児童公園で休み、街道に出て車とともに歩き、なかなか目的地にたどり着かない。足全体がかったるい、腰も何だか痛み出した。ううむ、何だか満身創痍という言葉が頭の中をぐるぐる回る。

 

 

 最後の3㎞ほどは、よたよたよれよれ、必死で足を前に出す。

 5時ころ帰宅、もう疲れ切って、なあ~~んもしたくない。

 

距離を推測してみるに、出かけたのが9時過ぎ、帰宅が5時ころ。

8時間だが、休憩その他で1時間引いて、歩いたのは7時間。

時速3㎞と計算して、7×3=21㎞。でも、ま20㎞ぐらいだろうか。

丘陵3っつ越え、きついかあ! 。